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第17話 まだ書かれていない手紙

Author: 天咲琴乃
last update publish date: 2026-08-14 12:54:01

「その手紙は、まだ葉月さんが書いていないものよ」

すみえの言葉に、いのりは息を止めた。

夜風が玄関を吹き抜ける。

手の中の便箋が、かすかに震えた。

「どういうことですか?」

すみえは答えない。

代わりに葉月が首をかしげた。

「手紙?」

「葉月さん、これ……」

いのりは便箋を見せる。

葉月の顔から笑顔が消えた。

――明日の夜、巌さんと村を出ます。

「私の字……」

葉月が呟いた。

「でも、こんなの書いてない」

やっぱり。

「じゃあ、未来の葉月さんが書いた?」

りひとの言葉に、すみえが反応した。

「未来?」

しまった。

いのりは口を閉ざす。

自分たちが未来から来たことは、まだ誰にも話していない。

すみえは二人を見つめた。

「あなたたち、何者なの?」

その時。

チリン。

遠くで鈴が鳴った。

葉月が自分の手首を見る。

「私じゃない」

銀色の鈴は揺れていない。

チリン。

今度は二階。

あの部屋からだった。

四人が同時に階段を見上げる。

「……誰かいる」

葉月が呟いた。

「行っちゃダメ!」

いのりは思わず葉月の腕を掴んだ。

「え?」

「今日はもう帰ってください」

「でも……」

「お願い」

葉月は戸
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